昨今東京都23区の中古マンションは高騰し続けているというのが、主流となっている論調だ。マクロデータを見てもそのように見て取れる。しかし実態は大きく異なるようだ。
マンションリサーチ株式会社ではこの実態を明らかにする為に、東京都23区に所在する、中古分譲マンション約4000棟を対象に、2023年に価格が下落した中古マンションは、2022年と比較してどの程度増減したのかを調査した。
【集計対象】
・新耐震物件(築1983年以降)
・40m2以上
・実需(オーナーチェンジを除く)
・中古分譲マンション3942棟
【結果】
2023年の東京都23区における価格が下落した中古マンション数は、2022年と比較して約30%が増加したと推定される。特に、品川区においては約80%、目黒区が約50%と大幅な増加が見られた。一方で、都心5区においては、港区のみが約20%増加したものの、千代田区、中央区、新宿区は減少、渋谷区は横ばいとなっている。
従って、物件供給量が多く、物件価格も大きい都心5区がマンション価格を引き上げている為、マクロデータ上では、価格が高騰しているように見えるが、実際23区の多くのエリアで価格転換の予兆が見られていると言える。
■高騰する中古マンション価格
グラフ1:一都三県成約価格の推移
上記のグラフは、一都三県各月の中古マンション平均成約m2単価を示しており、2013年3月より2023年12月に至るまで増加の一途を辿っている事が分かる。また、東京都23区は、この傾向をより顕著にあらわしている。従って、マクロのデータ上では、東京都23区の中古マンションは高騰し続けているように見える。
■価格が下落している中古マンションが大幅に増加
表1価格下落した中古マンションとその割合(1)
上記グラフの赤枠部は、左から2022年・2023年の東京都23区における価格が下落した中古マンション数と、その増減率を示している。
2023年東京都23区では、全体として2022年よりも30%以上多くの中古マンションが価格下落した。特に、品川区においては約80%、目黒区が約50%と大幅な増加が見られた。一方で、都心5区においては、港区のみが約20%が増加したものの、千代田区、中央区、新宿区はむしろ減少、渋谷区は横ばいとなっている。
表2価格下落した中古マンションとその割合(2)
上記グラフの赤枠部は、左から東京都23区の各区おける調査中古マンションの母数と2023年に下落した中古マンション数及びその割合を示している。全体としては、35%の中古マンションが価格下落している。また下落した中古マンションの割合が30%を切るのは、都心5区と江東区のみで、この数値は「価格が顕著に高騰した近年」と比較しても低い水準となっており、今だ都心五区の中古マンション価格高騰が予想される。
従って、物件供給量が多く、物件価格も大きい都心5区がマンション価格を引き上げている為、マクロデータ上では、価格が高騰しているように見えるが、実際23区のエリアの多くのエリアで価格転換の予兆が見られていると言える。
【考察】
グラフ2一都三県在庫推移
上記グラフでは、一都三県の中古マンションの在庫推移を示している。2022年の在庫水準と2023年の在庫水準では、2023年の在庫数水準の方が圧倒的に高く、需給バランスは逆転したと考えられる。従って都心5区のような一部のエリアを除けば、相対的に需要が減少した為、値下げせざるを得ない中古マンションが増加しており、実態としては多くのエリアで価格転換の予兆が見られていると言える。
健美家編集部
【東京都23区中古マンション価格の実態】『価格が下落した中古マンション』が平均30%以上増加。一部エリア全体の ... - 健美家株式会社
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