青瀬健
原材料費などの高騰に対応する「価格転嫁」ができているか。山口県中小企業団体中央会が企業に尋ねたところ、十分に進んでいない状況が浮かび上がった。1月に60社に質問し、57社から有効回答を得た。
物価上昇などに対応した賃上げについても尋ねた。「既に引き上げた」が53%で、前年の同時期に行った調査への回答(15%)から大幅に増えた。「今後(1年以内に)引き上げる」が23%、「予定はない(凍結)」は9%。業種による差は大きく、小売業に限って回答を見ると、「引き上げた」「凍結」がいずれも25%で平均と隔たりがあった。
賃金改定にあたって重視する要素(複数回答)は、「企業の業績」が74%で最も多かったが、前年の87%から減った。
逆に「労働力の確保・定着」は56%で前年の48%から増加。特に建設業では「企業の業績」と並んで83%と最多だった。
原材料費などの高騰や賃上げ分を販売・受注価格に転嫁できているか、について「ほぼできている」が26%で前年の22%からわずかに増えた。「一部できているが十分ではない」は61%で、前年と変わらなかった。一方、「転嫁の内容」(複数回答)を聞いたところ、原材料分が86%で、人件費引き上げ分が30%。中央会は「労務費まで上乗せするのは厳しいと考える企業が多いのではないか」と話している。(青瀬健)
調査に回答した企業のコメント
【価格転嫁】
・円や原油価格が不安定で仕入れ値が上がり続け、賃上げも毎年行われ、価格改定が追い付かない。(製造業)
・可能な限り製品価格に織り込んでいるが、競合が激しく、すべてを価格転嫁するわけにいかない。耐え忍ぶしかないのが現状。(製造業)
【賃上げ】
・賃上げを継続したいが、利益を増やし続けることは困難。国は中小零細企業に対してしっかりとした減税対策を講じるべき。(サービス業)
・競争力が貧弱な零細企業は、これから数年で消滅すると思う。(小売業)
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原材料費など高騰、山口県の中小企業「価格転嫁、十分進まず」 [山口県]:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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