今夏は梅雨明け後の好天と高温で夏秋野菜の出荷が前進化したが、8月中旬からは曇天や大雨などで計画通りの出荷が難しかった産地もあり野菜価格が大きく変動、報道で野菜の高値が取り沙汰された。しかし8月の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年比(過去5年平均)8%安で、全国的には産地に厳しい結果となった。
産地によっては秋冬作の準備が遅れたり、栽培をやり直したりしており、年末の出回りへの影響も懸念される。
価格の乱高下は、西日本での早い梅雨入りや大雨、台風、8月の低温など気象災害や異常気象が背景にある。
8月11日からの大雨で被害も発生。農水省によると9月13日現在で、農作物が24県・1万5900ヘクタールで65・4億円。農地の損壊は34府県・約5900カ所で122億円、農業用施設などは36府県・約5100カ所で213・3億円だった。農機などを含め計418・7億円に上る。まだ調査中の地域もある。
気象災害を繰り返し受けている産地は、疲弊が激しい。一方、生鮮野菜が高騰すると、買い控えや冷凍野菜への切り替えといった動きが消費者には見られる。冷凍野菜は、国内流通量の9割以上が輸入で、2020年まで4年連続で100万トンを超えた。
食料・農業・農村基本計画で政府は、野菜の生産量を30年度までの12年間で15%増やし1302万トンにするとの目標を掲げる。しかし作付面積と生産量はともに若干ながら減少傾向が続き、20年度の生産量は1147万トンだった。
地球温暖化に伴い、気象災害の一層の頻発・激甚化が懸念される。国内供給の安定・増大には災害に強い産地作りを進めるとともに、冷凍野菜を含めて加工用・業務用への対応などが必要だ。併せて収入の減少を補うセーフティーネット(安全網)の拡充など総合的に対策を強化すべきだ。被災農家の経営縮小や離農を防ぐため、早期の復旧・復興支援も重要である。
一方、産地は、米から園芸作物への転換や担い手の育成、リレー出荷や新たな作型の導入、梅雨や秋雨に対応した品種や水はけのよい圃場(ほじょう)の選定など生産拡大と安定出荷に努力している。
それでも災害や天候不順などで価格が高騰する場合がある。生産や流通、小売りなどが協力し、産地の努力や、価格高騰の要因や背景などを消費者に伝えることも必要だ。
野菜価格の乱高下 気象災害へ総合対策を - 日本農業新聞
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