新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かう中、資源価格の上昇が続いている。これは、新型コロナからの回復を目指す企業の業績を圧迫しかねない。ただし、資源価格の上昇に対しては冷静に対応する必要がある。(マーケット・リスク・アドバイザリー代表 新村直弘)
資源価格の高騰は
コロナと異常気象・過剰な脱炭素戦略
資源価格の高騰が続いている。資源価格が上昇した背景は、複合要因で需給がひっ迫していることにある。
世界の各国政府が、新型コロナウイルスに対する景気刺激策を間断なく行っていることにより、資源に対する需要は堅調に推移している。
その一方で、新型コロナの感染拡大が収束せずにサプライチェーンが寸断されている上、コロナの感染拡大によって人材確保が困難になって工場の稼働停止が増加している。これにより、需要を満たすだけの供給が実施できていないのだ。
象徴的な事例は、半導体だ。新型コロナで巣ごもり需要が増えたのに伴い、スマートフォンなどのハイテク製品の需要も高まったのに対し、新型コロナの感染拡大で人材確保が難しい生産工場では対応ができなくなり、供給減少を招いている。
企業の生産活動に必要な電気・ガス、そして石油の価格上昇も、資源価格の上昇に大きな影響を与えている。OPEC(石油輸出国機構)は、原油の生産調整を継続しており、ブレント原油は足元で、1バレルあたり80ドル前後で推移している。年初に比べて30ドル近く価格が上昇した。
脱炭素に急シフトしている欧州では、天然ガスが不足する“ガスパニック”が発生し、エネルギー危機の状態に陥っている。
欧州の天然ガスの価格が高騰し、これに連動するかのようにLNG(液化天然ガス)のスポット価格も高騰している。
日本は購入しているLNGの多くを原油価格に連動する長期契約で調達しているので、影響は限定的だ。しかし、気温低下で供給が足りなくなったときに購入するスポット価格の上昇は、大きなリスクとなる。
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