英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は5月16日、エネルギー価格上限の見直しの頻度を現在の半年ごと(4月と10月)から、四半期ごとへ変更する提案について、同日から6月14日までの意見公募を開始した。これまでの半年ごとの見直し頻度では、エネルギー価格上限の公表から適用開始まで約2カ月の遅れがあった。今回の提案では、見直し頻度を四半期に1回(1月、4月、6月、10月)に増やし、価格上限の公表時期は適用開始日の30営業日前とした。同提案は意見公募終了後、8月に意見への対応を発表、10月からの反映を見込んでいる。
Ofgemは今回の提案について、見直し頻度を上げることで最新の価格を反映し、現在の記録的な高値から価格が下落した場合、顧客がより早くその恩恵を享受できるとしている。
英国では、2021年9月ごろからガス価格が高騰した(2021年11月11日付地域・分析レポート参照)。同年10月からの価格上限は8月に公表されたため、その後のガス価格高騰の影響を反映できておらず、9月以降、エネルギー小売事業者の28社(注)が経営破綻に追い込まれた背景がある。現在の価格上限は2022年4月から適用され、標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間の価格上限は1,971ポンド(約31万3,389円、1ポンド=約159円)と、前期から5割以上の大幅な引き上げとなっており、消費者に影響が出ている(2022年2月7日記事参照)。
英国国家統計局(ONS)が5月13日に発表した国民へのアンケート調査(期間:4月27日~5月8日)結果では、過去1カ月の生活費の変化について、回答者の88%が増加したと回答。増加した項目としては、食料品価格(92%)、ガス・電気料金(85%)、ガソリンなど燃料費(79%)が上位を占めた。生活費が上昇したと回答した人のうち58%がガス・電気料金の値上げを最も心配していると回答した。
現地報道によると、10月からの価格上限は2,500~3,000ポンドとなるとも予想されており、追加支援を求める声も出ている。クワシ・クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)相は4月19日の議会声明で、消費者へのエネルギー価格高騰の影響に触れ、リシ・スーナック財務相から10月までに支援策の見直しを行う約束を取り付けたとしていた。
(注)2022年4月1日時点。一時的に国の管理下となったバルブ・エナジーを含む(2021年11月26日記事参照)。
(宮口祐貴)
エネルギー価格上限、10月から四半期ごとの見直しを提案(英国) | ビジネス短信 - ジェトロ(日本貿易振興機構)
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