9月16日以降に販売されるiPhone 14シリーズ。全モデルが10万円を超え、最上位構成(iPhone 14 Pro Max 1TB)では23万9800円とちょっとしたPC並みの価格になっています。この価格については、「高すぎて手が出ない」「性能を考えれば適正」「日本の価格は世界と比べると安い方」など、さまざまな意見が出ていますが、実際のところはどうなのかを考えたいと思います。
まず、iPhone 14シリーズの日本での価格を、iPhone 13発売時、そして2022年7月1日の改定後の価格と比較してみます。なお、iPhone 14 Plusは比較対象がないので除外しています。
こうしてみると、iPhone 13シリーズ発売時と比べると確かに値上がりしてはいるものの、7月1日の価格改定時と比べると、高くても5000円の値上げに収まっていることが分かります。
一方、米国での価格と比較するとどうなるでしょうか。日本では「大幅な値上げ」の印象があるiPhone 14シリーズですが、米国での価格は、iPhone 13シリーズから据え置かれました。
この価格に2022年8月末の為替レート1ドル=137.63円で換算した価格、そして日本での税別価格を並べると下記のようになります。税別価格で比べているのは、米国での価格にも購入時には消費税(日本の消費税とは若干異なります)がかかるため。日本と違い税率は一律ではなく、州によって異なっており、カリフォルニア州では10%前後になるようです。
この表で明らかなように、現在の為替レートで考えると、日本での価格は安いといえます。税別価格から換算した為替レートは136円ほど。価格改定直前の2022年6月末の為替レートは135.7円なので、ほぼこの時のレートで設定されているようです。もし、為替レートが1年前と同じ水準なら、日本でのiPhone 14シリーズの価格も据え置かれていたのかもしれません。
ところで、OECD(経済協力開発機構)が公表している平均賃金という指標があります。
国別の雇用者1人当たりの年収を示す指標ですが、2021年の統計では、日本は4万849ドル、米国は7万4738ドルとなっています。その差は約1.8倍です。
これが何を意味するかというと、同じ価格のものを買うとすると、日本では米国よりも高く感じるということです。平均月収49万円(4万849ドルを円換算して12カ月で割った金額)の日本人が24万円のiPhone 14 Pro Maxを購入するとなると、月収の半分を使ってしまうことになりますが、平均月収6200ドル(7万4738ドルを12カ月で割った金額)の米国人が1599ドルのiPhone 14 Pro Maxを購入する場合、月収の約4分の1の出費で済むことになります。
もちろん、物価の違いもあるので、そう単純に比較できるものではありませんが、こうして考えることで、単純に海外と日本の価格を比べても、実感とは異なる結果になりそうだということは分かります。
これはiPhoneに限った話ではなく、最近発表・発売されたAndroidスマートフォンにも言えます。例えば、auが取り扱うGalaxy Z Fold 4の価格は24万9960円(税込み、以下同)、Xperia 1 IVのSIMフリーモデルは17万4900円、AQUOS R7のドコモの価格は19万8000円。ハイエンドモデルでは10万円台後半〜20万円台は珍しくなくなってきています。
先ほどの平均賃金の指標を考えると、月収の半分程度の価格帯です。これが米国だと月収の4分の1程度なので、日本でいうと10万円前後の端末を購入する感覚でしょうか。
この日本で感じる割高感は、円安が落ち着けば多少は良くなるのですが、そもそもの収入が増えなければ焼け石に水という気もします。スマートフォンの価格は今後も上昇することはあれ、劇的に下がることはないでしょうから、iPhoneのようなハイエンドスマートフォンを購入するのはごく一部の層のみで、大多数はもう少し手の出しやすい価格帯のスマートフォンに移っていくということもありそうです。
もちろん、各キャリアでは端末返却を前提にした割引なども実施しており、額面通りの負担になっているわけではありませんが、この辺りも含め、日本でのiPhone 14を含むiPhoneのシェアがどうなっていくのか、注目しておきたいところです。
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