2022年10月03日14時41分
食料品や飲料が一斉に値上げされた10月、政府が製粉業者へ売り渡す輸入小麦の価格を据え置いた。物価高対策の一環で、今後半年間は9月までと同じ価格で売り渡す。ただ、エネルギー価格の高騰や急激な円安の影響は広範囲に及んでおり、パンや即席麺など小麦を原材料とする商品の値上げが一段落となるかは分からない。
―政府が輸入小麦の価格を据え置いた。
需要量の8~9割を占める外国産小麦は政府が一元的に買い付け、製粉業者などに売り渡している。価格は小麦の国際相場などに連動した直近6カ月の買い付け価格をもとに、毎年4月と10月に見直している。
本来なら今年10月の改定では、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景とする国際相場の急騰を受け、1トン当たり8万6850円と半年前より2割近く上昇する計算だった。しかし、家計への影響を緩和するため「パンや麺の値上がりを抑えていく」(岸田文雄首相)として、4月改定時の7万2530円を維持した。
―来年4月以降は?
今後の相場次第だが、農林水産省は今年10月に反映させるはずだった買い付け価格の上昇分を来年4月以降の価格に繰り越す考えだ。価格の算定期間を従来の半年から1年間に延ばせば、急変動する国際相場が家計に与える影響もある程度は抑制できると判断している。
―小麦製品の値上げは当面ないのか?
政府による価格据え置きの決定を受け、製粉大手の日清製粉グループ本社とニップンは業務用小麦粉の価格を据え置くと発表した。ただ、最終的にパンや麺類の価格がどうなるかは分からない。今の食料品の値上げは、小麦価格だけでなく輸送費やパッケージに掛かる費用の上昇なども反映しているためだ。
農水省の試算によると、小売り製品に占める小麦原料の代金は食パンが8%、カップ麺は2%、外食のうどんで1%にすぎない。野村哲郎農水相は「小麦価格を据え置いたからパンは今まで通りの価格、というのは難しいのではないか」と述べている。
―小麦相場の見通しは。
当面は高止まりが続くとの専門家の見方が出ている。ウクライナ情勢だけでなく、アジアやアフリカで小麦を食べる人が増えているとされ、中長期的にも需要の減少が見込めないからだ。
パンの値上げは一段落? 小麦価格据え置き―効果は不透明・ニュースQ&A - 時事通信ニュース
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