国産土鍋の8割を占める三重県の特産品「
萬古焼は三重県四日市市などでつくられている伝統的工芸品で、土鍋は主力製品だ。地元の製造業者でつくる「萬古陶磁器工業協同組合」によると、ペタライトは陶器の耐熱性を高める効果があり、1959年から粘土に混ぜて土鍋を焼いている。原材料の4割程度を占めるという。
異変が起きたのは昨年春。ペタライトの主要産地であるアフリカ南部ジンバブエのビキタ鉱山が中国企業に買収され、輸入がストップした。EV開発競争の激化が背景にあるとされる。
輸入を手がける名古屋市の商社などによると、ペタライトのリチウム含有率は4%程度。EV向けには含有率が高い別の鉱石が用いられてきたが、EVの生産拡大で不足するようになり、ペタライトの需要が増えた。
組合は国内に流通する在庫を調達して急場をしのいでいるが、調達価格は1キロ1000円ほどと、昨年の1・7倍になった。中国の景気減速もあり、来年の輸入再開について鉱山側から前向きな感触を得ているが、価格はさらに4、5倍に上がる可能性があるという。
萬古焼の土鍋は3000~1万円程度のものが多く、同組合の熊本哲弥理事長は「採算が取れず、値上げせざるを得ない」と頭を抱える。
国内有数の「調理用品の街」として知られる千日前道具屋筋商店街(大阪市)で陶器などを販売する「相互商会」の小川隆浩専務は「冬の鍋料理の必需品。できれば販売価格を据え置きたいが、仕入れ値が大幅に上がったら利益が出ない」と話す。
ジンバブエの政情不安に対する懸念から、三重県工業研究所窯業研究室は2015年からペタライトの使用量を半分にする製造方法の研究に取り組んでいる。新島聖治・主査研究員は「来年夏までには実用化したい」と開発を急いでいる。
国産「土鍋」、原料調達難で価格高騰の可能性…鉱石「ペタライト」EV電池と争奪戦 - 読売新聞オンライン
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